日本酒に「賞味期限」はない?知っておきたい「おいしい期間」の秘密

日本酒には食品表示法上の賞味期限がありません。しかし、そのお酒を最も美味しく楽しめる期間は存在します。このコラムでは、賞味期限の表示がない理由、種類別の「おいしい期間」の目安と品質劣化の原因について解説します。
日本酒に「賞味期限」はない?知っておきたい「おいしい期間」の秘密

はじめに:日本酒の表示と「おいしさの目安」

スーパーやコンビニエンスストアで販売されている多くの食品には、賞味期限または消費期限の表示があります。しかし、日本酒のラベルを確認しても、「賞味期限」の文字を見つけることはありません。これは、日本酒の特性に関わっています。日本酒は、適切に保管されていればすぐに飲めなくなるものではありませんが、味わいが最も良い状態を保てる期間は存在します。

このコラムでは、日本酒の表示に関するルールを説明し、種類ごとの「おいしい期間」の目安について解説します。


日本酒に「賞味期限」表示がない理由

日本酒が酒税法の管轄下にあり、食品表示法上の賞味期限の表示義務がない理由は、アルコール度数の高さにあります。一般的に、アルコール度数が高ければ高いほど、雑菌の繁殖が抑制され、品質が長期にわたり安定します。日本酒のアルコール度数は通常15度前後であり、これは微生物の活動を抑えるには十分な濃度です。

そのため、日本酒のラベルには「賞味期限」の記載はなく、また酒が容器に詰められた時期を示す「製造時期」についても、令和4年度の『酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達の一部改正について』により記載が任意記載事項へと変更となっています。

製造時期はあくまで製品が完成した時期を示すものであり、この日付をもって飲用が不可能になるわけではありません。しかし、製造時期の記載がある場合は、その酒がどのくらいの期間を経て現在に至るのかを判断するための重要な情報源となります。


種類別:美味しく飲める期間の目安

日本酒は、製造工程における加熱処理(火入れ)の有無によって、味わいが維持される期間が大きく異なります。ここでは、種類別に「最も美味しく飲める期間」の目安を示します。

火入れを行わない日本酒(生酒・生貯蔵酒)

生酒(なまざけ) 一度も火入れを行っていない酒。フレッシュで軽快な味わいが特徴ですが、成分が変化しやすく、品質の劣化が最も速い種類です。
 → 目安期間:製造年月から約6ヶ月以内(冷蔵保存が必須)。

生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ) 貯蔵前は火入れせず、出荷前に一度だけ火入れを行う酒。生酒に比べて安定性が高まります。
 → 目安期間製造年月から約8ヶ月~1年以内(冷暗所または冷蔵保存推奨)。

火入れを行う日本酒(吟醸酒・純米酒・本醸造酒など)

これらは通常、貯蔵前と出荷前の二度火入れを行っているため、品質が安定しています。
 → 目安期間製造年月から約1年~約1年半特に吟醸酒大吟醸酒は、繊細な香りを長く楽しむために、製造年月から約10ヶ月以内の飲用が推奨されます。

この期間を過ぎても飲めなくなるわけではありませんが、香味が変化し、本来の味が損なわれる可能性があります。


品質劣化の主な原因と防止策

日本酒の品質が劣化する主な原因は、「日光(紫外線)」「温度変化」「空気(酸化)」の3点です。これらを適切に管理することが、「おいしい期間」を延ばすことにつながります。

日光(紫外線):紫外線は酒の成分に化学変化を起こさせ、「日光臭」と呼ばれる不快なにおいの原因となります。
 ■ 防止策:直射日光や蛍光灯の光が当たらない、暗い場所での保管が必須です。

温度変化:温度が高いと、酒の成分変化が加速し、味が濃く、着色が進む「老ね香(ひねか)」が発生しやすくなります。
 ■ 防止策:低温であるほど品質の変化は緩やかになります。冷蔵庫(5℃以下)または温度変化の少ない冷暗所(15℃以下)で保管してください。

空気(酸化):一度開栓すると、酸素に触れることで酸化が進み、風味が落ちます。
 ■ 防止策:開栓後は、密閉性の高い蓋でしっかりと栓をし、できるだけ早く(数日〜1週間程度で)飲みきることが理想です。


おわりに:日本酒の「飲み頃」を意識する

日本酒に法的な「賞味期限」の表示はありませんが、それは「いつ飲んでも変わらない味」を意味するわけではありません。種類ごとの特性と製造年月を理解し、適切な保管方法を実践することで、その酒が持つ本来の「飲み頃」の味わいを最大限に楽しむことができます。

このコラムで解説した目安期間や保管方法を参考に、購入した日本酒のタイプに合わせて意識的に管理することで、日本酒の世界をより深く楽しむことが可能になります。

白嶺 Hakurei03(ゼロスリー) さんきあまざけもと

純米吟醸原酒

米の旨味と水の味わいを最大限に引き出す造り。
『さんきあまざけもと』という製法で醸造。
マスカットのような果実香、米の旨味と甘味。