にごり酒とどぶろくの違いとは?製法・酒税法・味わいを徹底解説

白く濁った日本酒の代表格「にごり酒」と「どぶろく」。見た目は似ていますが、製法も法律上の分類も異なるまったく別のお酒です。このコラムでは、両者の違いを製法・酒税法・味わいの3つの観点から解説し、混同されやすい「おりがらみ」「かすみ酒」との違いも併せてご紹介します。
にごり酒とどぶろくの違いとは?製法・酒税法・味わいを徹底解説

にごり酒とは?

もろみを「粗く濾す」ことで生まれる白濁の日本酒にごり酒とは、蒸し米・米麹・水を発酵させた「もろみ」を、目の粗い網などで濾して造られる日本酒です。通常の清酒は、酒袋などを用いてもろみをしっかりと搾り、透明な液体に仕上げます。一方にごり酒は、この搾りの工程(専門用語で「上槽(じょうそう)」と呼びます)を、あえて粗い目で行うのが特徴です。
そうすることで、本来は搾り取られてしまう微細な固形成分、いわゆる「澱(おり)」が液体の中に残り、あの独特の白い濁りが生まれます。

味わいの幅広さがにごり酒の魅力

にごり酒は、米そのものの甘みや旨みをしっかりと感じられる、濃厚な味わいが特徴です。ただし、ひと口に「にごり酒」と言っても、その表情はじつにさまざま。搾るときの目の粗さによって、舌触りも風味も大きく変化します。
たとえば、ごく薄く濁った「うすにごり」や「ささにごり」は、軽やかでフルーティーな印象。一方、しっかりと澱を残した「あらごし」タイプは、米の存在感が際立つ重厚な味わいです。
また、火入れ(加熱処理)をしないにごり酒は「活性にごり」と呼ばれ、瓶の中で発酵が続いているため、開栓するとシュワシュワとした発泡感が楽しめます。日本酒でありながらスパークリングワインのような華やかさを持つ、近年人気の高まっているスタイルです。

にごり酒の歴史

白く濁ったお酒は、古来より日本で親しまれてきました。ただし、現在のように「もろみを粗く濾して造る」という製法が一般的になったのは、明治時代以降のこと。酒税制度が整備されていく中で、濾す工程を経て造られる今のスタイルのにごり酒が確立したと言われています。寒い季節に湯気の立つ料理と共に味わうイメージが強く、冬の風物詩としても親しまれてきました。


どぶろくとは?

もろみを「濾さない」、最も素朴なお酒

どぶろくは、蒸し米・米麹・水を発酵させたもろみを、一切濾さずにそのままお酒として味わうものです。「濁酒(だくしゅ)」「濁醪(だくろう)」と表記されることもあり、米粒の感触がそのまま残った、非常に素朴な姿のお酒です。
濾過の工程を経ないため、白濁の度合いは数あるお酒の中でも最も濃く、見た目はまるでお粥のようなとろみを帯びていることもあります。

米そのものを味わうダイレクトな風味

どぶろくの最大の魅力は、米の甘み・旨みがダイレクトに口の中へ広がるところにあります。とろりとした口当たりと、ほのかに残るつぶつぶとした米の感触。発酵によって生まれた自然な甘さと酸味のバランスが、素朴ながらも奥深い味わいを生み出します。
一般的なにごり酒よりもさらに濃厚で、まるで「お米を飲んでいる」ような感覚を覚える方も少なくありません。

神事・祭りと共に歩んできた日本の伝統酒

どぶろくは、古来より日本各地の神社や農村で、神事や収穫祭の際に醸され、神々への捧げものとして、また人々の親睦のために飲まれてきました。岐阜県の白川郷で毎年秋に行われる「どぶろく祭り」は、ユネスコ無形文化遺産にも関連する貴重な伝統行事として広く知られています。
近年では、2003年に岩手県遠野市が全国で初めて「どぶろく特区」に認定され、農家民宿などが自家製のどぶろくを提供できるようになりました。これをきっかけに、地域おこしの一環として全国にどぶろく特区が広がっています。


にごり酒とどぶろくの3つの決定的な違い

ここまで、それぞれのお酒の特徴を見てきました。次は、両者の違いを3つの観点から整理してみましょう。

▼違い① 製法:「濾す」か「濾さない」か

最も本質的な違いは、製造工程における濾過の有無です。 にごり酒はもろみを粗く濾す「上槽」工程を経るのに対し、どぶろくはこの工程を一切行いません

▼違い② 酒税法上の分類

日本の酒税法では、「米・米麹・水を原料として発酵させたもろみを濾したもの」を「清酒」と定義しています。この一文がじつに重要で、上槽工程を経ているにごり酒は「清酒(日本酒)」に分類されますが、濾す工程を経ないどぶろくは清酒には該当せず、「その他の醸造酒」というカテゴリに分類されるのです。
この分類の違いは、製造に必要な免許にも影響します。にごり酒を造るには「清酒製造免許」が、どぶろくを造るには「その他の醸造酒製造免許」が必要となります。

▼違い③ 見た目・口当たり・味わい

製法と分類が異なれば、当然、お酒そのものの個性も変わってきます。

  • にごり酒:白濁の濃さは中程度。なめらかでとろりとした舌触りが特徴。搾りの粗さによって味わいの幅が広い。
  • どぶろく:白濁が最も濃く、米粒感のあるとろみが残る。米そのものの濃厚さがダイレクトに感じられる。

混同されやすい「おりがらみ」「かすみ酒」との違い

白く濁ったお酒の世界には、もう2つ知っておきたい仲間がいます。「おりがらみ」と「かすみ酒」です

 ・おりがらみとは

おりがらみは、通常の清酒と同じように上槽工程を経て搾られたお酒ですが、その後に行う「澱引き」(搾った液体に残る微細な澱を取り除く作業)をあえて行わない仕上げ方をしたものです。
そのため、見た目はうっすらと霞んだような淡い白濁。一般的な清酒の透明感と、にごり酒の白濁感の、ちょうど中間に位置するような姿をしています。酒税法上は、もちろん「清酒」に分類されます。

・かすみ酒とは

かすみ酒は、おりがらみとほぼ同じ意味で使われる呼び名です。蔵元によって呼び方が異なるだけ、と捉えても差し支えありません。ごく細かい澱が霞のように漂う様子から、この風情ある名前が付けられました。軽快ですっきりとした飲み口で、清酒の繊細さを保ちつつ、にごり酒のような旨みも楽しめる絶妙なバランスが魅力です。

・「濁りの濃さ」で並べると一目瞭然

白濁の濃さの順に並べてみるとこうなります。

どぶろく > にごり酒 > おりがらみ ≒ かすみ酒

このグラデーションを頭に入れておくと、ラベルを見ただけでおおよその風味が想像できるようになります。

まとめて比較



味わいの違いをもっと楽しむために

温度帯と飲み方のバリエーション

白く濁ったお酒は冬のイメージが強いかもしれませんが、じつは温度帯や飲み方の工夫しだいで、一年を通して楽しめます。
冷酒や常温でそのまま味わうのはもちろん、約40℃のぬる燗にすると、米の甘みがふくらみ、まろやかな風味が引き立ちます。氷を入れたグラスで楽しむオン・ザ・ロックや、炭酸水で割ってさっぱりと味わうソーダ割りも、近年人気のスタイルです。
にごり酒ならではの楽しみ方として、瓶の底に沈んだ澱と上澄みを混ぜてから飲む方法と、あえて混ぜずに別々に味わう方法があります。同じ一本の中に、二通りの表情を見出せるのもにごり酒の奥深さです。

料理との相性

米の旨みがしっかりと感じられる白く濁ったお酒は、味のしっかりした和食と好相性です。鍋料理、煮物、味噌を使った料理など、出汁や発酵調味料の風味と寄り添うように溶け合います。季節を問わず楽しめるお酒として、自分の好みに合った一本を見つけてみてはいかがでしょうか。


おわりに

「にごり酒」と「どぶろく」の決定的な違いは、もろみを濾す工程の有無にあります。この一点の違いが、酒税法上の分類(清酒/その他の醸造酒)にも、味わいや見た目にも大きく影響しているのです。
そして、これに「おりがらみ」「かすみ酒」を加えた4種類を理解しておくと、白く濁ったお酒の世界をぐっと深く味わえるようになります。
違いを知ることは、一杯のお酒をより豊かに楽しむための入り口です。次に酒販店や居酒屋で「にごり酒」「どぶろく」「おりがらみ」と書かれたラベルを目にしたとき、きっとそれぞれの個性を想像しながら、ご自分にぴったりの一本を選べるはずです。

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